BLOG

ランドセル屋さんの革製品ブログ

銀座店のご紹介と、
黒革の小物

2018年11月20日

長財布

鞄工房山本の二見です。
11/22(木)から販売予定の鹿革小物、せっかく素材を12色も作ったので各色の説明というか魅力をお見せしたいと思います。
各色名前もついているので、ブログで毎回1色選んで、その由来であるとか、合わせやすい色とかをおすすめしつつ。

私たちの鹿革の豊富なカラーレンジからまずおすすめの色は—
(Drrrrrrrr ドラミング)

黒です!

黒革の小物(名刺入れ、長財布、ブックカバー)

黒は無彩色なので、色とは言わない。と昔聞いたことがあります。でも私たちの鹿革の黒は、「きれいな色」なのです。
勿論定番色として、男女問わず常に人気のある黒ですが、鹿革小物12色ある中でもし黒を選んでくださるなら、ぜひこの黒にほれ込んでお選びいただきたいです(単に無難だから、合わせやすいから、というのではなく)。
色の冒険はなくても、この名刺入れと束入れ(メンズの長財布で小銭入れのないタイプ)とブックカバーはとてもシックです。

私たちはこの黒を憲法黒(けんぽうぐろ)と呼んでいます。鞄工房山本の革小物は、特に「和」に焦点を当てたわけではありません。ただ、カラーパレットを作るにあたり日本の色合いを参考にし、名前もそこから採用しました。もとはと言えば「和」であった色を使って、普遍的なものを作りたいと思っています。

憲法黒とは、元剣術家であった染匠吉岡憲法が考案したと言われる黒で、温かみのある、茶色のニュアンスを含んだ色です。江戸時代を通じて人気があったとも言われています。

一般に使われる言葉でも、
単なる黒と区別して
墨黒
漆黒
はよく聞きます。
漢字で見る通り、墨黒は墨汁のようなやや明るい優しい黒、漆黒はどこまでも黒い漆塗りの黒です。
日常的にも色々な黒に私たちは接しています。
例えば、奈良には古い立派な日本家屋がたくさんあります。その中でも黒い壁で年数を経たものは味わいがあって特に美しいです。
まるで奥のほうにある黒と表面のマットさが層になっているようです。

いたずら書き(ひっかき傷)をされていても、かっこいい、、、
この2層になったような黒色の深み、革にも通じるところがあります。

革のことを調べたことのある方なら「芯通し」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。平たく言うと、革の厚み全体が表面と同じ色に染まっているのがそれです。一方、「芯通しじゃないほう」は、また平たく言うと、表面の色(しばしばスプレーで(顔料)をのせている)と革を切った時の断面の色が異なります。革製品に軽く傷がついたときに、すぐに違う(白っぽい)色が見える場合は、後者である可能性が高いです。
イタリアやフランスの革屋さんと話していると、時折「色に奥行きがある」という表現が使われます。最初何のことかよくわからなかったのですが、芯通しの革の表面の仕上げのハーモニー(?)で確かに「奥行がある」と感じられることがあります。

↑手持ちのサンプル牛革で黒いものを集めました。シボの出方も色の見え方に影響しますが、それにしても色々な黒があります。

スプレー仕上げだと、どうしても色が「のっかっている」ことになるので平たく見えます。目には一番表面しか見えていないはずなのに不思議に思うこともありますが、何かの拍子に妙に納得してしまいます。

鞄工房山本で使用している、藤岡勇吉本店による「FUJIOKA DEER」の黒はタンニンなめしの素仕上げです。自然なシボも細かく浮き出ています。地のテクスチャーとシボの表面のツヤが控えめなコントラストになっています。
単に濃いのではなく、深み、奥行のある、味わい深い黒です。しっとりとした質感とあいまって、思わず触れたくなります。

↑たとえ同じロットでも、革は自然な素材であるため、シボの出方も風合いも幾分ばらつきがあります。それも革の味わいとしてぜひ楽しんでください。

黒に関する記述で一番有名なのは谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」でしょうか。身近なところでは黒い塗りのお皿に黒い羊羹をのせて出す、とかお歯黒といった日本人と黒(影)の関係や美意識について述べられています。日常的なことでも、指摘されてはっとしたり、面白さを改めて実感させられる内容です。もう一度読みたくなってきました。

鞄工房山本銀座店のご紹介

銀座店、と呼んでいますが、ランドセルに関しては主にショールームとして機能しています。実は私もはじめ「なぜ大人の街銀座にランドセルショールーム?」と思いましたが、改めて地図を見ると交通アクセスが素晴らしく良い場所です。

東京
新橋
有楽町
銀座
銀座1丁目
京橋
宝町

たくさんの駅が徒歩圏内です。皆様にご来店していただきやすい立地です。

11/22(木)から鹿革小物を販売するのですが、前もってディスプレイを試した画像がこちら。

カラフルさの楽しさをみせつつ、すっきりまとめています。

棚の照明で色がひときわきれいに見えます。

皆様のお越しをお待ちしております。

鞄工房山本 二見

筆者プロフィール

名前:二見

大阪府出身 京都大学卒業 ヨーロッパで靴の仕事を12年間経験したのち帰国
バッグメーカーなどを経て2018年8月より現職
好きな文筆家は森鴎外、Albert Camus
好きなミュージシャンは Jimi Hendrix、Cream