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ランドセル屋さんの革製品ブログ

眠れぬ夜と、憲法黒の鹿革ブックカバーには
黒いミステリー

2019年3月30日

ブックカバー

テレビ離れが進んでいるとかで、ドラマの視聴率低迷をよく耳にします。2時間ドラマ枠もなくなっていっているそうな。
2時間ドラマと言えば、サスペンス。ミステリー。テレビのサスペンスドラマって、質の差はあれど、よく出来たものはホンマにハラハラのドキドキ。出来がさほど良くなくてもそれはそれで楽しめる。
「配役見た瞬間に犯人わかるやんか!」「そんなアホな!」、あるいはいつも同じ俳優さんが出てきて、中でも、いつも「いい人そう」 OR 「可哀想な人っぽい」ひとが「またあんたが犯人かーい」というオチ。そんなちょっとした楽しみも激減するとなると、残念。

鞄工房山本のディア文庫、てなわけで今回はミステリー小説を選んでみました。お約束の2時間ドラマがなくなって寂しがっているお母さん、お父さんへ、気分を変えてミステリー小説のプレゼント。
ディア文庫では幅広いジャンルの本をご紹介したいので、ミステリーも外せません。18色ある鹿革ブックカバーに、色んな人が好きになるかもしれない色んな本を選ばなければ。

深く、奥行きの感じられる憲法黒の鹿革にあうミステリーを探す

鹿革のブックカバー(15,000円/税別)。私もとくに良い色と思う憲法黒(しかもタンニン鞣し)のブックカバーに、松本清張の『黒革の手帖』も考えましたが、流石にそのまんまやし……。そもそもメジャーすぎる。

で、ふと映画『黒衣の花嫁』(フランソワ・トリュフォー監督、ジャンヌ・モロー主演、1968年公開)が思い浮かびました。結婚式当日に夫を殺された花嫁が犯人に復讐していく話。もしかして、それに原作があるかも!

ありました。
小説『黒衣の花嫁』“The Bride Wore Black” はコーネル・ウールリッチ(Cornel Woolrich)というアメリカの作家が書き、1940年に出版された本です。彼は他の名前で作品を発表していたことも多く、ウィリアム・アイリッシュという名前でご記憶されている方もあるのではないでしょうか。なんて言いながら、私はこの作家のことをまるで知らなかったのです。その世界で巨匠と呼ばれる人だったのですね、不勉強で失礼いたしました。

余談ですが、映画『黒衣の花嫁』は、むかーし見た記憶の中では白黒映画だったのに、今調べると思い切りカラー。黒が強く印象に残ったということにしておきましょう。

他に映画化された作品として、短編集に収められている『裏窓』(アルフレッド・ヒッチコック監督、1954年公開)があります。

日米ミステリー作家の巨匠、黒いタイトル対決

Wikipedia でこのミステリー作家の作品リストを見てみると、驚きの事実が:

1940年 衣の花嫁 (The Bride Wore Black)
1941年 黒いカーテン (The Black Curtain)
1942年 黒いアリバイ (The Black Alibi)
1943年 黒い天使 (The Black Angel)
1944年 恐怖の冥路 (The Black Path of Fear)
1948年 喪服のランデヴー (Rendezvous in Black)

経歴が真っ黒です!

あ、意味が違いますね。
どの作品もタイトルはさらっとしているというか、とくに何かを匂わせている感じではありません。そこも、典型的なミステリーな気もしないでもない。同時に、彼には内容だけが重要で、タイトルはどうでも良かったんじゃないか、という勘ぐりもしてしまいます。

前述の松本清張さん、日本のミステリー小説(この方の場合はそれだけではありませんが)の巨匠、も多作です。そして色の名前、とくに黒が入ったタイトルが多い。
『黒い樹海』『黒い空』『黒い福音』『黒地の絵』『黒の回廊』。『黄色い風土』という作品の旧題が『黒い風土』、どっちやねん。短編集の題名にも『黒い画集』。連作に『黒の図説』『黒の様式』『黒の挨拶』。
たくさん書いていると、タイトルが思い浮かばなくなるとか?? まさか! ここまで来ると、面白がって名付けておられた気がします。
すべて勝手な想像です。

ミステリー小説を、とことん楽しむ。ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』

コーネル・ウールリッチ a.k.a ウィリアム・アイリッシュの一番有名な作品は1942年の『幻の女』“Phantom Lady” だそうです。こちらはアイリッシュ名義。

残念ながら『黒衣の花嫁』が絶版になっていて入手できなかったので、代わりに『幻の女』を読んでみることにしました。

えっ? なんですって?
そこまで『黒い』タイトルの話しといて、読まへんのかい?

すみませ~ん、色々調べているうちにまずこれを読んでみたくなったんです~。

主人公が見知らぬ女と数時間過ごし、自宅に戻ると妻が殺されている。彼のネクタイで絞殺されていることから犯人扱いされるが、アリバイを証明して無実となるためには謎の女を見つけなければならない。おお。今やミステリーの王道的な展開ではないか。これが80年前に書かれたなら、元祖かもしれません。

新訳版も出ている、根強い人気を誇る本のようです。ただし、予算の都合で古本で入手しました……。
すると……
古本って、古び具合によって既に怖そう。
そして、帯に印刷されている、当時のその他オススメミステリーのタイトルも……

なんて恐ろしい!

気を取り直してページをめくると、

目次まで怖すぎる!
その時です。何かが本から床に落ちました。

謎のメモが挟まれている!
ど、どういうメッセージなのでしょう。殺人予告!? それとも、ダイイング・メッセージ??

裏にまで!
うぎゃーっ!

怖くて今夜は眠れそうにありません。早速徹夜で読書します!
そして、誰かにプレゼントするならぜひ新品の本をお選び下さい!

鞄工房山本 二見

筆者プロフィール

名前:二見

大阪府出身 京都大学卒業 ヨーロッパで靴の仕事を12年間経験したのち帰国
バッグメーカーなどを経て2018年8月より現職
好きな文筆家は森鴎外、Albert Camus
好きなミュージシャンは Jimi Hendrix、Cream