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ランドセル屋さんの革製品ブログ

若葉色の鹿革ブックカバーに
『カメレオンのための音楽』

2019年4月3日

ブックカバー

この色を、鞄工房山本では若葉色と呼んでいます。他に何を連想しますか。

ピスタチオ。
なるほど、マカロンのピスタチオ味はこんな色です。

バッタよりは、黄色味が少ない。

じゃあ、カメレオン色!
でも、カメレオンって色変えられるから、もともとどんな色でしたっけ??

カメレオンみたいな作家、トルーマン・カポーティ

初めてみた、彼の(おそらく)いちばん有名な写真がそうだったのですよ。しかも、背景に樹木があって、ますます動物っぽい。

(わざと緑のフィルターかけていますが)

ただし、カメレオンみたいなのはこのお顔だけではありません。
子供(作家自身)が主人公の、子どもたちに読んでほしくなる『おじいさんの思い出』から、冷徹に語られる犯罪のルポルタージュ『冷血』まで、執筆したときの年齢が違うとはいえ、別の人格が書いたような変わりようです。
というわけで、6回目となるディア文庫、今回はトルーマン・カポーティの短編集『カメレオンのための音楽』 “Music for chameleons”をご紹介します。

言い換えると、カメレオンによる『カメレオンのための音楽』を鹿革カメレオン色のブックカバー(15,000円/税別)と合わせて、カメレオンするのはいかがでしょう、ということです。

この作家の、日本で一番知られている作品は、映画の影響から『ティファニーで朝食を』でしょう。映画は1961年にブレーク・エドワーズ監督、オードリー・ヘップバーン主演で公開されました。

中学生か高校生の時にそれをみたものの、何もピンと来ず。なんだか全体的に釈然とせず。数年後、カポーティのインタビューを読んでいて、彼が主人公にマリリン・モンローを考えていたことを知ってすっきりしました。
モンローで観たかったです。全く別物になっていたことでしょう。

(作家と女優。この写真だとそうは見えませんが、友人だったそうです。)

この短編集『カメレオンのための音楽』には Conversational portraits(会話によるポートレート)と題して、作家と著名人との会話でその人物を描き出しているパートがあります。モンローはその中の“A beautiful child(うつくしい子供)”に登場します。
これは……
うつくしいです。

あんまりオススメされると逆に読む気がそがれるゼ、という方もいらっしゃると思いますのでこれくらいで黙ります。

……

……

……

ホンマに黙ってどないすんねーん!

カポーティに、豪華な翻訳陣

私の場合、彼の小説を読むより先に映画を観て、インタビューを読んでしまったので、まあまあ不幸な出会い方でした。

(左は、Wikipedia に掲載されていた初版本のイメージです。しまった、紫色やん。)

そのインタビューで忘れられない一言があって、作家がミック・ジャガーに関して

「彼は、フランク・シナトラみたいに歌えない。フレッド・アステアみたいに踊れない。でも、彼には才能があるんだ!」

言い得て妙。
彼はショービジネスの世界での交友が広かったようです。本人もマスコミへの露出が多かったみたいですね。

有名人といえば、上の画像でお気づきでしょうか。ハヤカワepi文庫から出版されている『カメレオンのための音楽』を訳したのは野坂昭如氏です。
割とクセのある訳、という声もあるようですが、好みによるのでしょう。

カポーティの他のいくつかの作品は村上春樹氏も訳しています。なんだか翻訳する人の顔ぶれが派手ですね。
村上春樹氏の訳で銅版画家の山本容子氏の挿絵が入った単行本、昔欲しくなった記憶があります。でもプレゼントでもらうのではなく、自分で買うとなると文庫本ばっかりになってしまうのですが。

いいのだ。負けるな文庫本。
そして文庫本カバーも。

3部構成の内容もカメレオン

この本、表題となった「カメレオンのための音楽」という短編をはじめとする短編小説集、プラス実録犯罪記録「手彫りの棺(Handcarved coffin)」、プラス前述の Conversational portraits で構成されています。リッチな内容です。「手彫りの棺」はゾッとします。この多様さがまたカメレオン。
これだけ色々な要素が入っていると、翻訳小説をあまり読んだことがないという人でも何かしらお好きなものがみつかるのでは。
というわけで、嫌がられない程度に最大限におすすめいたします!

鞄工房山本 二見

筆者プロフィール

名前:二見

大阪府出身 京都大学卒業 ヨーロッパで靴の仕事を12年間経験したのち帰国
バッグメーカーなどを経て2018年8月より現職
好きな文筆家は森鴎外、Albert Camus
好きなミュージシャンは Jimi Hendrix、Cream